この記事でわかること
- 長期優良住宅のデメリット7つ
- 間近で補助金申請があったり、初期コストを気にする人は△
- 長期優良住宅は「家の安心を証明付きで買いたい」「リセールバリューが欲しい」人向け
注文住宅を建てる時に検討する「長期優良住宅」の申請。
「長期優良申請」実施有無により、建物の構造や建築スケジュールなど色んな所に変更が生じます。
理解していたつもりが、実際に私たちが申請を進めていると、様々な後悔ポイントが出てきました。
間取り検討中だけど、長期優良住宅の申請どうしようかな
長期優良住宅を申請するか、迷っている人には特に読んでほしい記事です。
長期優良住宅申請のデメリット
長期優良住宅を申請するデメリットは、ずばりコレ。
各項目でデメリットを解説します。
そして最後に、23年の場合のデメリットをご紹介します。
間取りの制約
長期優良住宅の基準をクリアする為に、耐震性などの観点から壁や柱を多めにする間取りにする必要があります。
空間の希望を優先するか、家としての性能を優先するか選ばなければいけません。
我が家も「長期優良申請をしないならこの壁は抜ける」と言われた間取りがありました。
この壁が抜ければ、かなり広々と見えるLDK。
平屋ならまだしも、2階建ての我が家。
その上、地盤改良を行うほどの、地盤があまりよくない地域なので、家はせめて頑丈にしたかった。
長期をしなくても、ある程度の耐震性が欲しい!耐震等級3がほしい!となるとでてくる「耐力壁」問題。
ですが、長期優良住宅の申請を行うなら避けて通れません。
申請費用がかかる
ハウスメーカーによって申請コストは変わりますが、大体30~40万程度を要求されます。
実際にかかる経費+事務手数料という感じです。
それもそう、損にならないように申請コストの設定をしているからです。
建物にかかる費用は2000万~。
仮にそのパターンだと、長期優良による税控除「3年延伸」の恩恵の額が
「30万程度」なんだよ!
例として、我が家の場合(ペアローン3100万×2、年収800万×2)。
長期優良住宅「税控除期間10年間→13年間に延伸」で得られる控除額は、60万円になります。
13年目のローン残債は2000万 → 残債の1%である20万分が所得税から3年分控除可能
13年目は夫婦ともに40歳 → 年収800万の所得税は45万なので、20万分フルで控除される
かつペアローンで2人分なので、3年間で少なくとも120万の控除になります(20万控除×3年間×2人分)。
年収800万でなくても、年収500万あれば所得税を20万払っている事になるので、
年収が500万を下回らない限りは、長期優良住宅にすることで、+120万の控除を将来的に受けることができます。
ハウスメーカーに30~40万払っても、将来の税金控除を十分にとれる場合は、人によってはメリットかも。
申請期間として2か月程度かかる
長期優良申請にはハウスメーカー側の申請準備で1か月程度、
申請してから修正・完了が下りるまでに1か月程度かかります。
我々のケース
- 3月22日 間取り決定、申請準備へ
- 5月14日 HMの申請準備完了
- 7月中旬 承認
なお、長期優良住宅申請(間取り決定後)の後、提示されたスケジュールは
「外構」「仕様・色打ち合わせ」「クロス打ち合わせ」「電気打ち合わせ」です。
最初、「長期優良申請を行うのに2か月程度かかりますが、その間に内装等の打ち合わせをゆっくり進められますよ」と間取り作成段階の時に聞きました。
考える箇所がいっぱいで楽しみだ~♪と思っていたのもつかの間、一日缶詰めで終了しました。
そのあとはほぼ何もしていません。
周りの注文住宅を建てた人たちに聞いてみると、どこもそんな感じのようです。
結果、時は過ぎて着工は7月末になり、間取り決定から4か月近く間が空いたことに。
申請に2か月と言ってたけど、申請がなければ、3ヵ月近くは短縮できてたのでは・・・?
ハウスメーカー側の発注作業があったとしても、着工まで4か月あくことはなかったでしょう。
ツイッターでは、この申請期間が長いために、補助金事業の申請をできなかった人もいました。
2月末に契約し、その後に話し合いを重ね、
— おむすび🍙2人目40w→0m🏡こどもみらい難民継続🚧 (@omu_risyu_subi) November 28, 2022
長期優良住宅を申請する運びになり、
6月末に話し合いが終わり、ハウスメーカーの都合で着工日を心待ちにしている状態でしたが、12月上旬になり申請が間に合わず、完全にこどもみらい難民になりました。
子育て世帯で贅沢な選択をした事を後悔してます。
補助金事業の申請期間に間に合わない可能性がある
長期優良住宅を申請するにあたって2か月申請期間が必要になると前述しました。(実際は4か月かかった)
これにより21年の補助金事業、グリーン住宅ポイントの申請要綱に当てはまらない可能性がありました。
2021年度の住宅関連補助金制度。
最大100万円分(我が家の場合は40万円分)のポイントを家電などの商品と交換したり、建築工事費に充てることができる制度。
2022年度では、「こどもみらい住宅支援事業」「こどもエコすまい」という名前で同様の補助金が交付されている。
グリーン住宅ポイントでやりたかったのは断トツで「追加工事交換(建築工事費に当てる)」なんですが、これを行うには22年1月15日までに完了報告が必須でした。
我々は21年2月に請負契約を締結し、3月に間取り確定して7月末上棟予定です。
でも、営業に先日「22年1月の完了報告は間に合わないから追加工事は諦めて商品交換にしてくれ」と言われ、実際1月中に引き渡されましたが、ハウスメーカーからのNGで追加工事交換はできませんでした。
実際、完了報告の申請には「長期優良住宅の認定書」が必要だったので、引き渡しは余裕をもって受けなければいけません。
今季の補助金も、どうようの注意点がありますので、要綱をチェックの上で、長期優良住宅の申請をやるか決めてみてくださいね。
住宅の検査を自分達で行う必要がある
長期優良住宅の認定をうけるためには、5つの条件があります。
- 住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること。
- 住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
- 地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること。
- 維持保全計画が適切なものであること。
- 自然災害による被害の発生の防止、軽減に配慮がされたものであること。(国土交通省HP)
この4に該当するのが、住んでから居住者がやる必要のある「検査」になります。
我が家では、見本として下記の検査表がハウスメーカーから渡されました。
各項目において、それぞれの点検時期に点検することが記されています。
ハウスメーカー側の〇年点検の際に、みてくれる箇所ならいいのですが、そうではない場合は自分でやらなければいけませんよね。
配管設備は潜らないと見れないし、見た所で素人が判断できるのか?
ちょっと疑問な部分がありますね。
なお、点検の際の書式は自由なようで、下記のようなフォーマットを作成し、点検を進める形になります。
この点検シートを、行政より提出が求められる場合があります。
その際に提出ができないと、認定取り消しまたは罰金の支払いになるので、要注意です。
標準仕様が長期優良クラスでない場合、プラスで金額がかかる
坪単価70万を超えるような建築会社であればレアなケースだと思いますが、
標準仕様のグレードが低くして、坪単価を抑えている建築会社の場合、
長期優良仕様にしようとすると、等級を上げるためにプラスで料金がかかる場合があります。
ツイッターでは、「コストアップと工期延長」があったとリプをしてる人も。
うちはとってないです。
— ぽへ🔸住宅カンペ (@pohe_home) July 1, 2022
依頼しましたが、数十万のコストアップと1ヶ月ほどの工期延長と言われて泣く泣く…😭
ただその後の固定資産税の特別措置などで提示された費用はほぼペイできますし、リセールなどの観点からもとっておくことに越したことはないと考えています!
そもそも、長期優良を約6割の人が取っていることに驚きでしたが。
上記はおそらく注文住宅の人が中心に回答しているので、新築購入者でないことは注意したいです。
23年、長期優良にすることのデメリット
21年1月あたりのウッドショック以降、すごい勢いで建築費用があがっています。
これは建築物価調査をしている一般財団法人が発表している、建築費推移のグラフです。
家の構造部分となる木はもちろんのこと、22年のウクライナロシア戦争が始まって以降、ありとあらゆる資材が高騰しています。
問題は、現在このように建築費が高騰中なのに加えて、長期優良を行う事による
「コストアップ」「工期の遅れ」のデメリットを上回る価値を長期優良に感じられるか、ということです。
もたもたしていても建築費はどんどん上がります。(一時期下がっていますが、すぐに上昇していますね)
公開している一条工務店やヤマダホームズなどの見積りも、坪単価があがっていることはほぼ確実。
もし、まだ工期が確定していない段階で長期優良を検討しているなら、はやめの決断がお勧めです。
住宅ローン控除等のメリットにだけ注目しないで!
控除額が増える(取得税、住民税)、贈与税枠が増える、控除される期間が長くなる(固定資産税)、などいろいろといい点を挙げられますが、補助金ではないので申請したら手元にお金が入ってくるわけではありません。
本当に自分達にとってのメリットとなるのか?
見極めてから判断してみてはいかがでしょうか。
下記では23年の家づくりで気を付けるべき補助金系スケジュール・意識すべき事を紹介しています。